タクシーには「法人タクシー」と「個人タクシー」の2種類があり、それぞれ運営形態やサービス品質、料金体系などに明確な違いがあります。
そのため、利用者は目的や状況に応じて最適な選択をするために、事前に両者の特徴を正確に理解しておかなければなりません。
本記事では、法人タクシーと個人タクシーの基本的な違いを整理し、各種メリット・デメリットを比較した上で、適切な利用判断に役立つ情報を提供します。
また、記事内ではハイヤーサービスも提供している法人タクシーの「日本交通」についてもご紹介します。
法人タクシーと個人タクシーの違い
法人タクシーと個人タクシーには、おもに以下のような違いがあります。
ここでは、その違いについて解説します。
時間の融通性に差が見られる
法人タクシーと個人タクシーでは、勤務時間の自由度に大きな違いがあります。
法人タクシーは、勤務体系が会社によって定められており、日勤・夜勤・隔日勤務などのシフト制で運用されるのが一般的です。
出勤前には点呼や車両点検が義務づけられ、出庫・帰庫の時間も含めると、1日の拘束時間が長くなる傾向があります。
一方で、個人タクシーは乗務員自身が事業主であるため、働く時間や休憩時間を自由に設定できます。
例えば、早朝や深夜の割増時間帯を狙って効率的に稼働したり、家庭の都合に合わせたりなどのスケジュール調整も可能です。
また、出勤や点呼といった手続きが不要で、自宅から直接営業を開始できるため、実働時間を最大限に有効活用できる点も大きな利点です。
売上と収入構造の違いによる経済的自由度
法人タクシーと個人タクシーでは、売上の取り扱いや収入の仕組みに明確な違いがあり、それが経済的な自由度にも大きく影響します。
法人タクシーは、一般的に売上の50〜60%がドライバーに還元される仕組みで、さらに基本給や各種手当が加算されるケースもあります。
また、経費や車両の管理は会社が担うため、固定費の心配が少なく、安定した収入を得やすい反面、収益の上限もある程度固定化される傾向にあるのが特徴です。
一方で、個人タクシーは売上の全額が事業主であるドライバー自身の収入となります。
ただし、そこから燃料費、車両維持費、保険料、駐車場代など各種経費を差し引く必要があるため、実質的な手取りは運用の工夫やコスト管理の巧拙によって大きく変動します。
法人タクシーは安定性を重視する人に向いている一方、個人タクシーは高収益を目指したい人や、自らビジネスを運営したい人に適した選択肢といえるでしょう。
課題解決のアプローチが異なる
法人タクシーと個人タクシーでは、トラブルや問題発生時の対応方法に根本的な違いがあり、それが働き手の安心感や業務効率にも大きな影響を与えます。
法人タクシーでは、事故やクレームなどのトラブルが発生した場合に備えて、会社が窓口対応や保険手配、修理などを担当してくれるのが一般的です。
ドライバーは運転業務に集中でき、精神的にも経済的にもサポートがある点が大きなメリットです。
一方、個人タクシーでは、すべて自己責任で対応しなければなりません。
事故対応やクレーム処理、車両の修理・メンテナンス、さらには経理や税務処理も自ら手がける必要があります。
法人タクシーは安心重視で業務専念型、個人タクシーは自由かつ自己完結型といった構造の違いが、課題対応の方法にも如実に表れています。
要求される条件が違う
法人タクシーと個人タクシーでは、求められる要件に大きな違いがあり、それが参入のハードルや働き方に直結します。
法人タクシーに就くために必要なのは基本的に第二種運転免許のみであり、会社によってはその取得費用を支援することもあります。
一方、個人タクシーになるには一例として以下の要件を満たさなければなりません。
- 業界経験が10年以上ある
- 同一会社での10年経験および申請前10年間無事故無違反(35歳未満の場合)
- 開業は65歳未満のみ可 など
また、資金面でも条件に差があり、法人タクシーは資金不要で始められるのに対し、個人タクシーとして独立するには設備資金や運転資金、車両・整備・保管場所などさまざまなコストがかかります。
個人タクシーの条件の厳しさは、下記の法人タクシーの台数の多さからもうかがい知れます。
法人タクシーは2008年以降減少の一途をたどっていますが、個人タクシーも同様に2008年頃からほぼ毎年減少しています。
法人タクシーは比較的簡単に始められ、サポートも充実していますが、個人タクシーは長い経験、無事故・無違反の履歴、まとまった資金など多面的な条件をクリアする必要があります。
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法人タクシーと個人タクシーにそれぞれ向いている人の特徴
法人タクシーと個人タクシーは、さまざまな面で異なる点があるため、自分の特性や環境などを考慮して検討する必要があります。
ここでは、法人タクシーと個人タクシーでそれぞれ向いている人の特徴を解説します。
安定した収入を求めるなら法人タクシー
法人タクシーは、安定した収入を求める方に適した選択肢です。
多くの法人タクシー会社では、基本給と歩合制の給与体系が採用されており、売上が少ない月でも一定の収入を確保できる強みがあります。
また、賞与や固定給制度を取り入れている会社では、給与の安定性がより高く、未経験者や安定志向の方にとっては理想的な働き方です。
さらに、福利厚生や教育面でも社会保険、健康診断、研修体制の充実、免許取得支援など、法人タクシーには組織によるサポート体制が整っており、長く安心して勤められる環境が整っています。
自分のペースで働きたい方は個人タクシー
個人タクシーは自由な働き方を重視する方にとって魅力的であり、勤務時間・スケジュール・稼働日を自身で決められる点が最大の強みです。
法人に属する場合とは異なり、固定シフトや出勤の義務がなく、早朝や深夜、繁忙期など高単価の時間に集中して稼ぐなどの柔軟な収益戦略も可能です。
さらに、売上はすべて自身の収益となり、働いた分がダイレクトに反映されるため、自律的に働きたい方には最適な選択肢といえます。
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法人タクシーから個人タクシー運転手になるための手順
法人タクシー勤務から個人タクシーとして独立・開業するには、多くの手続きや条件があります。
法人タクシーから個人タクシー運転手になるための手順は以下の通りです。
手順 | 概要 |
①開業の方法を選択する | 新規許可の取得もしくは譲渡譲受による開業を選択する |
②開業の要件を確認する | 免許、運転経歴、資金、営業区域などを確認する |
③試験・申請 | 必要な試験を受け、許認可申請を行う |
④許可取得後準備 | 車両登録、保険加入、営業準備などを完了させ営業開始 |
個人タクシーを開業する場合、まず新規許可を取得するか既存の個人タクシー事業者から事業を譲渡・相続するかで手続き・試験の内容や難易度が変わります。
新規許可は譲渡・相続が可能な個人タクシー事業者を探す必要はありませんが、譲渡・相続よりも試験が多く、狭き門となっているケースも目立ちます。
実際に申請に必要な書類の詳細は以下の運輸局の公示を確認してください。
出典:個人タクシー事業の許可申請書等の様式及び添付書類等について
法人向けタクシーのタイプと特徴
法人向けタクシーには、おもに以下の種類があります。
ここでは、法人タクシーの種類における特徴について解説します。
ワゴンタクシー
ワゴンタクシー(ジャンボタクシー)は、法人利用において多人数の移動や大きな荷物の運搬に適した車両タイプです。
一般的に使用される車種は乗員5~9名程度のトヨタ・アルファードやハイエースなどで、社内研修、視察、空港送迎、ゴルフ送迎、役員の移動など、ビジネスシーンに幅広く対応できます。
特にハイエースのような大型車両ではスーツケース10個前後を積載でき、荷物が多い移動にも問題ありません。
ワゴンタクシーは、セダン型タクシーと同程度の運賃体系ながら、広い車内と高い快適性を備えており、移動時間を「仕事の延長」として活用したい法人顧客にとっても有用です。
また、観光用途でも利用しやすいのも特徴の一つです。
定額タクシー
定額タクシーは、主に空港送迎などの特定区間において、事前に料金が確定している運賃体系を提供するサービスです。
距離や渋滞に関係なく定額料金(高速料金は別途支払い)で移動できるため、予算管理や予定調整が明確になります。
特に空港送迎や出張移動、観光企画などで予算管理が厳格に求められるケースでは、定額タクシーの採用が安心かつ効率的な手段といえます。
陣痛タクシー
陣痛タクシー(マタニティタクシー)は、妊娠中の女性が安心して出産に臨むための配車サービスで、法人利用でも産婦専用の移動手段として導入されるケースがあります。
基本的には妊婦さんが事前に自宅や出産予定の病院などの情報を登録し、急な陣痛時でもスムーズに病院まで送迎が可能です。
事前登録はほとんどのケースで無料で、通常のタクシー料金(メーター+迎車料程度)で利用可能なことが多い一方、深夜・早朝など時間帯によっては割増運賃が適用されます。
観光タクシー
観光タクシーは、地元に精通したドライバーがガイドも兼ねて、指定された時間内で自由にルートを選びながら案内する「貸切型」のタクシーサービスです。
通常の走行距離や時間で運賃が加算されるメーター制とは異なり、時間制または定額料金制で料金が決まっており、3時間や半日、1日などパッケージ型の利用が基本です。
また、ドライバーには観光知識や接客マナー・多言語対応に関する研修・認定を受けた者が多く、安心感とホスピタリティの高さでも優れているサービスといえます。
サポートタクシー
サポートタクシーは、高齢者や身体の不自由な方などを対象に、通常のタクシーでは対応しきれない各種外出を支援する特別なサービスです。
乗務員は「介護職員初任者研修」を修了しており、安全かつ丁寧に日常生活の通院や買い物などのさまざまな場面に対応できます。
ただし、通常の介護タクシーと異なり、入浴・排泄・医療行為やベッドからの移動など直接的な身体介助は提供範囲外です。
利用者の安全が確保できないと判断された場合は、サービスが提供できないこともあります。
また、要介護認定の段階に応じて、同乗者の帯同が求められるケースもある点には注意が必要です。
キッズタクシー
キッズタクシーは、おもに子どもとその保護者を対象にした送迎サービスで、安全・安心な移動を重視したサービスです。
キッズタクシーでは、子育て経験や保育士資格、救命救急講習などを持つ精鋭乗務員が専任で送迎を担当し、ドア・ツー・ドアでの送迎が利用できます。
料金体系は時間貸切制が基本で、複数のチャイルドシートの装着やキャッシュレス対応、降車後の保護者への完了連絡など、細やかな配慮も特徴です。
法人向けタクシー会社との契約手順
法人向けのタクシー会社とは契約する際には、どのようなサービスを利用したいかで契約手順が異なる場合が大半です。
ここでは、例として「タクシーチケット」と「役員用タクシー・ハイヤー契約」の2種類を提供している日本交通の契約手順を紹介します。
【タクシーチケット】
1.ご契約を希望される方は、「タクシーチケット契約申込フォーム」へ必要事項をご入力のうえ送信いただくか、「契約申込書」をダウンロード後、必要事項をご記入のうえ、FAXまたはメールにてご送付ください。お申し込み内容を確認後、担当営業よりご連絡差し上げます。
2.ご契約にあたっては所定の審査がございます。審査通過後、保証金として10万円から30万円をお預かりいたします。 ※保証金は契約終了時にご返金いたします。ただし未払いの債務がある場合には、そちらに充当させていただきます。 ※審査結果によってはご希望に沿えない場合もございますので、あらかじめご了承ください。 3.後日、担当者より契約内容の詳細をご説明し、ご理解・ご承諾をいただいた上で、契約書へご署名・ご捺印をお願い申し上げます。 4.契約完了後、タクシーチケットを発行いたします。 ※初回の発行は、原則として2冊までとさせていただきます。以降の追加については、ご利用状況やご要望に応じて調整いたします。 5.ご利用料金は月単位で集計し、まとめてご請求させていただきます。 ※ご希望に応じて、月2回または月3回の締め処理(例:15日仮締、月末本締など)にも対応可能です。 6.ご請求書到着後、1ヶ月以内を目安にお支払いをお願いいたします。 7.お支払い方法は、契約書に記載された締日・支払い条件に基づき、「銀行振込」または「口座振替」にてご対応ください。 ※なお、振込手数料はご契約者様のご負担となりますのでご了承ください。 |
【役員用タクシー・ハイヤー契約】
本サービスは、平日(月曜~金曜、土日祝を除く)において、専用の車両とドライバーを固定し、月極でご契約いただくチャーター型の役員専用ハイヤー・タクシーサービスです。
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各事業者ごとに契約手順は異なるため、詳しくは問い合わせるようにしてください。
こんな企業には法人向けタクシーよりハイヤーサービスがおすすめ
法人タクシーはコストパフォーマンスや利便性の面で非常に優れた選択肢ですが、利用の目的や重視する価値によっては、ハイヤーサービスの方が適している場面も存在します。
特に、サービスの一貫性や安全性、企業イメージなどを重視する企業にとって、ハイヤーの品質は大きな付加価値を生み出します。
例えば、毎回同じドライバーの担当により得られる「顔なじみの安心感」は、ハイヤーならではの特徴です。
役員やVIPなど、日常的に重要な移動を行う方にとっては、運転技術や接遇に信頼を置けるドライバーが毎回対応するのは、精神的な負担を軽減し移動そのものの質を高めることにつながります。
また、機密情報を取り扱う企業や、安全対策を重視する業種にとっても、ハイヤーは有効な選択肢です。
ハイヤーの乗務員は守秘義務やセキュリティ意識に関する教育を受けており、車内での会話や移動ルートに関する情報の取り扱いも徹底されています。
予約制で運行ルートが事前に明確である点も、リスク管理の観点から安心できる要素です。
さらに、企業としての品格やブランドイメージを重視する場合、ハイヤーの高級感は重要な演出手段となります。
洗練された車両、制服を着用したプロフェッショナルなドライバー、丁寧な言葉遣いと所作は、企業としての信頼性や格式を象徴するものとなり、顧客や取引先に対して良い第一印象を与えられます。
ハイヤーは単なる移動手段ではなく、「信頼」「安心」「高品質」を提供するサービスとして、一定の水準を求める企業活動を下支えします。
移動に付加価値を求める場面では、法人タクシーではなくハイヤーが真価を発揮するケースが少なくありません。
中でも業界シェアNo.1を誇る日本交通のハイヤーサービスは、長年培った信頼と高品質な接遇で、多くの企業に選ばれています。
ご興味のある方はぜひ以下のリンクからお問い合わせください。
ハイヤーとは?タクシーとの違いや特徴、サービスおすすめ比較もご紹介
まとめ:日本一愛されるハイヤーサービスなら日本交通ハイヤー
法人タクシーはコスト面や手軽さで多くの企業に選ばれていますが、より高い信頼性やホスピタリティが求められる場面では、ハイヤーサービスが真価を発揮します。
ハイヤーサービスのなかでも、日本交通が提供するハイヤーサービスは、年間契約による専属対応で法人のお客様に特化した質の高い移動環境を実現しています。
日本交通のハイヤーでは、企業ごとに営業スタッフが丁寧にヒアリングを行い、利用目的や頻度、役員の好みに至るまで細やかに把握した上で、最適なプランと専任ドライバーを提案します。
ドライバーは事前に面接も可能で、相性やコミュニケーションスタイルなどを考慮して配属されるため、乗車される方にとっての安心感は非常に大きなものとなります。
また、専属で雇っていた自社ドライバーの転籍にも対応しており、これまでの信頼関係を維持したままハイヤーサービスへの移行も可能です。
さらに、業界最大手としての信頼性と長年の実績を背景に、接遇マナー、守秘義務、安全運転などの側面で高い基準を維持し続けている点も、日本交通ならではの強みです。
日本交通のハイヤーサービスは、高いホスピタリティ、確かな安心感、柔軟な契約対応、そして企業ブランドを損なわない洗練されたサービスをお求めの企業様・個人様に特におすすめです。